【ネタバレ注意】注目作『pupa』の最終巻5巻を読んだ感想 +茂木清香先生の新連載情報

【ネタバレ注意】注目作『pupa』の最終巻5巻を読んだ感想 +茂木清香先生の新連載情報

月刊コミックアース・スターで連載されていた茂木清香(もぎ さやか)先生(@mogi_sayaka)による異色作『pupa(ピューパ)』の単行本5巻を一読してネタバレ含むあらすじや感想をまとめました。

この先を読む人はご注意ください。

5巻収録話:

  • 第27話 胎内巡り
  • 第28話 自殺蛹
  • 第29話 ぼくとぱぱ
  • 第30話 喰い愛
  • 第31話 最初の約束
  • 最終話
  • 特別編 マリアの島
  • おまけ(4コマ漫画8つ)

本編6話+特別編+おまけ収録で269ページほど。

5巻のあらすじ:

現(うつつ)は自分の精子と夢(ゆめ)の卵子を受精し、マリアの胎内で成長してあらわれた異形の息子と対面し、自分は父鬼島四郎と同じような人間だから子供を持ってはいけないと考え、化け物の姿をした息子の呼びかけと触れようとする手を払いのけてしまう。

そうすると息子は泣き叫ぶ。

泣き声に自分の体のpupaウイルスが呼応し、痛みが伝わってくる現が跪くと、島の足元が柔らかくなり、島に沈んでしまう。

そこにはマリアが取り込んできた生物らしき亡骸があり、ここは島と同化したマリアの胎内なのかと感じ取る。

そしてそこには夢が捕らわれており、現が助けようとすると、息子に「おいていかないでパパ」と抱きしめられ動けなくなってしまう。それを見た夢はお兄ちゃんはその子と一緒に居てあげて、ごめんねそっちには行けないの、幸せになってねと言い、夢はマリアの胎内の化け物に食べられてしまい、首を落とす。

マリアのゆりかご

目の前で死んだ夢を見て絶叫する現の元にマリアがあらわれ、ここは私の胎内、私のゆりかご、この中でみんな私と一つになりましょうと語りかける。

絶望のあまり現はここで夢と一緒に吸収されるのもいいかもしれないと思い、息子にお前も一緒にこの中で消えるか? と問うと、「ぱーぱ、いっしょ」と同意する。

現は息子と一緒に目を閉じながら、子供の頃に見た蛹がひとつだけ体から液体を出して死んでいた事、子供がみんな大人になれるわけじゃない、もしかしたらあの蛹は外の世界に絶望した蝶が自ら死を選んだのかもしれないと思っていた。

ぼくとぱぱの別れ

現は息子とふたりだけの生活をしていた。姿こそ違えど本当の親子、シングルファーザーのように接していた。

ふたりで過ごしている部屋の隣から夢の悲痛の声が聴こえてくる。現は助けにいきたいが、息子は部屋の胎盤とつながっていて動く事ができない。

現には息子とずっと一緒にいてやりたい気持ちがあったが、息子から悲しい顔をするパパを見るのは嫌だと言い、自ら別れを切り出す。

現は父としての思いを伝え、その部屋を後にする。

現が羽化

部屋を出たらそこは島の上だった。すぐ近くには父・鬼島四郎がおり、40分ぐらい潜っていた事を知る。そして四郎は現の成長した男の顔に驚く。

そして、夢を助けるためにpupaの化け物の姿に羽化し、島と同化した夢を喰い、夢ではない部分を分離する作業を開始する。

現と夢は人間の姿で描写されるが、外野の四郎達の目には化け物になった現が食い散らかしているように見えていた。

現と夢の最初の約束

現は夢を食いながら最初にした二人の約束を思い出していた。

母の長谷川幸子が子供達を捨てて家を出て行き、二人切りになった。夢はpupaとしての記憶や考え方が生きており、現は親がいないと生きていけない子供だという事を認識していた。そして、幸子が居なくなった理由は自分にあると自覚があり、夢は家を出る。

現は夢を追いかけるが、その時に交通事故にあってしまう。

夢はpupaの力で傷が回復するが、現は瀕死の状態。

冷静な夢は救急車をよびにいこうとするが、現はひとりにしないで、そばにいてと引き止める。それに心打たれた夢は自分の体の一部を現に食べさせ、回復させる。

夢はあの人(おそらくユウの事)が迎えにくるまで記憶も回復力も封印して人間として現の妹としてすごしてみようと考え現在に至る事が描かれる。

終幕

現がどれだけ夢を食べても腫瘍は消えない。

四郎や第三者から見ると、現の体ももう保たないように見えていた。

そこで現はユウの言葉(語りかけ)を思い出す。

pupa(蛹)の終わりは二つしかない。死か、羽化。マリアはpupaが正体をあらわすことを羽化と言っていたが、本当はもう一段階あると言う。

現と夢は短く語り合い、お互い食い合い、液体になってひとつになり、蛹から羽化して無数の蝶になり島から飛び立っていった。さみしそうな背中で飛んでいった蝶を見る四郎……。

島で横たわっていたマリアの元に仏木と猫があらわれ、側に居た小さなpupaの化け物を持ち上げ、これがお腹に居た子ですかと話し始める。

仏木は受精卵をマリアのお腹に入れた時はふたりの子供を作っているみたいで感動したと明かすと、マリアは無表情で「アナタ種なしだものね」と返す。

もしかして僕のために作ってくれたとか? と聞くと、マリアはそれを否定し、「アナタとの子供には…興味があったかもね。兄さん…」と衝撃的な事実が。

仏木は「愛」(マリアの本名)をつぶやき、小さなpupaを放し、あの子は何になりすまして生きていくんだろうねぇ、もしかしたら気付かないだけでpupaは他にもいるのかもしれないねぇ…と思いに耽る。

現と夢の蝶は世界中で羽ばたき、夢が「大好き」と語り物語は終幕を迎える。

特別編 マリアの島

最終話で明らかになったマリアと仏木が兄弟だという話が中心に描かれています。

仏木十三(ほときじゅうぞう)ではなく、伊万里誠(いまりまこと)と名乗っていた頃の話。

父とともに海外に行っていた誠が久しぶりに日本に帰ると、伊万里愛(マリア)が生まれており、小さいながらも様々な知識を身につけ、小動物の解剖を繰り返すという異常な娘に戸惑う母が居た。

その後、誠が13歳、愛が7歳になった時に、誠は愛から質問を受ける。

誠は女の子の人形を複数持っており、それを壊したり愛でたりしては自慰行為をしていた。それを幼い愛からなじられ、兄さんはこれで何をしていたの? と言われ、誠は咄嗟に近くにあった熱湯を沸かしていたヤカンで愛を殴りつけてしまう。

それが原因で顔の右側や身体にひどい火傷を負うが、マリアは感謝していた。熱傷に関するデータは実体験に勝る物はないと。そして、父や母が自分を怖がったりするのは見た目が人間で中身が違うからだと言い、いつか人間と違う生き物に、化け物になりたいと明かす。

それから1年後、誠と愛は祖父の伊万里幻十郎の元へ。そこには鬼島四郎が居たり、たまに祖父の知り合いだという備前が家庭教師として勉強を教えてにきてくれたという。

ある日、マリアがpupaを見つけ、笑顔を見せる事が増えた。愛は興味のある物にだけ笑顔を見せるが、自分には見せてくれない事に悩む誠。お人形のような愛が好きだった。

そこで幻十郎が死に、残された子供達はこれからの事を考えるが、愛はpupaの研究を続けるという。誠は愛と離れ興味を無くされるのを恐れ、研究を共にする事に。

美しい人形を失いたくない、一つになりたいという気持ちを邪魔するのは「兄妹」という関係だった。そこで誠は顔と名前を変え、兄であることを捨てる、もしも愛がpupaになれたら僕のものになって欲しいと宣言する。

実験の末、島と一体になってしまった愛を思い、島に成っていた林檎をかじり、「妹の眠る島に抱かれながら妹を食べる そうして僕達はやっと一つになれた」と〆る。

5巻を読んだ感想:

一つの愛の物語が終わりました。

本編ラストに3つの見開きがあるのですが、それが蝶が舞う空間に幼少期、中学生、高校生と成長し、最終的には絡み合い液体になり羽化していく描写には思わず震えてしまいました。

というのは建前で、最後の最後で出てきたマリアと仏木が兄妹だった事実に大きく心を持っていかれました。更に特別編が収録され、現と夢の関係なんてどうでも良いぐらいに……。

作品の系統は全然違いますが、ドラゴンクエストダイの大冒険で言うところのポップのように、裏主人公は仏木とマリアだったのではないかなとすら思えてきます。

5巻と短かったのですが、なかなか楽しめました。やはり短い作品でも楽しめる漫画はありますね。(手塚治虫先生の『ばるぼら』や『奇子』とかはもっと短いかくて好きな作品はありますが。)

10巻、20巻と長く続いている作品なら多少自分の好みと外れていたとしても実際に読んでみればある程度おもしろいものですが、5巻以下の作品は打ち切りの作品も珍しくなく、当たり外れが激しいので自分がおもしろいと思う漫画と出会うのは珍しいのですが、『pupa』は概ね当たり作だったなと思います。

未読の人は試しに読んで見てください。

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茂木清香先生の新連載情報:

あと、巻末にシリーズ累計60万部突破した事、ヤングチャンピオンの6号(2月25日発売号)から『Switch Witch』(スイッチウィッチ)という作品を連載開始する事が分かりました。

説明に「だから私は早く大人になりたかった。少女のつぼみが開く時、世界はきっと血まみれになっている…」とあり、なかなか危ない雰囲気を感じています。

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